北尾根(その2)

地獄沢越しの丹沢

こんな素晴らしいトレールが、こんなに近くに在った事に驚いてしまった。頂きから谷間に至るまでの距離は丹沢の表尾根と同じ位の距離があり、その眺望は左には丹沢山塊、更にその先に富士山を見て、右には三峰山や横浜、副都心等の建物を眺めながら下る。また、頂上からは殆ど登り勾配がなく、軽快に下山が出来るのである。

何故このルートが薦められていないのか、原因ははっきりしている。ひとつはバスで移動を考えると時間が掛かりすぎるからだ。結局、今回下山だけで約6時間歩いた。二つめは冬場以外は木々が生い茂っていて眺望が殆ど楽しめない事、そして所々に点在する細い尾根が原因であると思われる。そんな結論を出したが道中は--------

下社階段

1月5日、寝坊して出発が1時間遅れてしまった。本厚木で電車に乗り込むと登山者らしき人が何組か居た。8時に伊勢原駅に到着すると、バス停『大山ケーブル駅行き』には沢山の人が並んでいた。

カゴヤ道

満員のバスは約20分で到着したが、北尾根がどんな道か分からないので体力温存の為、下社までケーブルを使用した。そこからはカゴヤ道を通る。かごや道は下山では気付かなかったが大きな樹が多い。

21合目

そして、この道は登る人が少ない。静かな登りの最中に軽快な枯れ葉を踏む音が聞こえる。このリズムは多分鹿だと想像できた。それに比べて自分の重い足取りはどうだろう。

途中、大きな樹の根が張り出していて、カゴの担ぎてはきっとここで休んだのだろうと思った。

北尾根トレール

カゴヤ道から表登山道と合流したところから、道は完全に凍っていた。滑らない様にステップを選んだ。その脇を高校生達が勢いよく通りすぎる。部活で登っているようだったが余りの無謀さに、心配になった。

すると、23丁目で一人が転んだ。お尻を打って2段下まで落ちたが大きな怪我ではなかった。本来なら、先生が付いて、指導する必要があると思った。

富士山

頂上に到着すると、主だったベンチは殆ど陣取りが完了していた。自分は、いつものレーダー下のコンクリートに腰を下ろした。濡れない様に敷いた折畳みクッションが表面張力で水を吸い上げ、お尻を湿らしてくれた。

目印(黄色いNO)

11時、休憩を終えて出発する。同じ失敗を犯したくないので何度も下り口を確認した。やはりレーダー脇の所しかなかった。そして今回は心強い足跡があった。雪の量は前回より少なく10〜20cm程である。

頂上を望む

今回は2万5千分の1の地図をマップケースに入れて、何時でも見れる様手で持って歩いた。踏み跡があっても前回の我々みたいなのが居るので安心できない。

西沢の頭

地図を確認すると真北に進めば問題は無い。気温が低く、雪を踏みしめるとサクサクと音がして気持ちが良い。だが、薄い手袋1枚では直ぐに手がかじかんできた。

副都心

数分歩くと5m位の急な下りがあり、そこは木が生い茂っていた。そこが分岐点だった。前回の振返りで分岐はこの辺りと思っていた。雪が多く、この場所を早く通り過ぎたいと思っていて失敗した。今回は間違いは無かった。また目印の神奈川県水源協定林の支柱も発見できた。

外人サン

12時なったので食事に取りかかった。頂上でお湯を入れた、20分で出来るご飯は丁度良かった。しかし、カップラーメンを作ろうとしたが3分待つ間に熱湯が冷めてしまった。後入れのスープは冷えて硬くなってなかなかカップに入らない。やはり寒地での食事は考えないといけない。

空が青く

ミズヒの頭の手前で尾根縦走中に初めて人を見た。外人さんである。二人組で先頭の人が挨拶をして過ぎて行った。しかし、立ち止まったその時、丹沢方向を見たら富士山がくっきりと見えた。

ミズヒ沢の頭

そして、右手にはミズヒ沢の頭が見えた。外人達がどんなルート・手段で来たのか足跡を遡りながら想像したが、途中で足跡が見えなくなった。札掛から来たのかもしれない?

ミズヒ沢の頭から振返る

ミズヒ沢の頭から振返ると大山の頂きが遠くに見えた。ここから16号鉄塔までは急な下りになった。アイゼンを外さなくて正解だった。

分岐

16号鉄塔の真下に着いて、眼下に地獄沢に迷いでた時の道が見えた。思ったより近く感じたが登ればやはり大変だったと思った。(前回、間違いに気付いた時ここまで戻ろうとして途中まで登った)

モミの群生

左にモミの大木が何本も連なっている。ここは神奈川50選になった『モミの群生林』である。しかし、右を見ると同サイズの杉が並んでいる。

一の沢峠

大木を見ながら進むと一の沢峠に着いた。ここを右に曲がって黒岩に向かう。

黒岩

黒岩まではくねくねと曲がった細い道が続いた。ここでは沢を渡ることになった。木橋は流されて機能していない。

キャンプ場への道

黒岩からキャンプ場も細い道で、また少し深い沢を渡ったり木橋も幾つか渡った。よそ見すると危ない道であった。

キャンプ場

キャンプ場に着いて振返るとミズヒ沢の頭がよく見えた。北尾根の縦走が終り、大山も残すルートは南の秦野ルートだけになった。北尾根縦走の達成感を暫く味わった。

宮ヶ瀬

キャンプ場を抜けてアイゼンを外したが所々が凍っていて歩くのが覚束なかった。簡単な滑り止めが必要と思った。

経過時刻

伊勢原駅着 8:00 → 大山ケーブル駅着 8:25 → 下社出 9:00 → 蓑毛分岐 9:40 →

21合目 9:52 → 大山山頂 10:20 → 山頂発 11:00 → 地獄谷分岐 11:07 →

食事(15分) 12:00 → 西沢の頭 12:45 → ミズヒ沢の頭 12:50 → 16号鉄塔 13:20 →

一の沢 14:10 → 黒岩 14:30 → キャンプ場 15:25 → 宮ヶ瀬 16:45