白山(順礼峠) |
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イヌマキ |
長沢正教氏の『巡礼峠』を読みました。主人公の娘と母親が 、巡礼をしながら千葉の館山から、母親の生まれた大山に帰ろうとするのです。しかし、この順礼峠で母親は力尽きてしまいます。 娘は近くの源昭寺で救われ元気を取戻し、その後、寺の上人に連れられて大山に帰っていく という内容です。この小説に出てくる風景や、どんなに順礼が大変なのかを歩きながら感じてみたくなり出かけました。 |
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先ずは坂東33箇所順礼の六番札所の飯山観音(長谷寺)に車で出かけます。ここに駐車して順礼峠まで尾根を歩きます。小説の親子は別のルートから向かったので すが、それは帰りに逆コースで歩きます。 登り口には駐車場がなく、本堂の側まで登った所に駐車場がありました。 仁王門の脇に茶店があり、ここにしか無いという『タニシ長者』のお土産が並べてありました。昔、田舎でタニシは食べた事がありますがさてどんなものでしょうか?最近は余り物珍しいものを受け入れなくなった私でした。 |
長谷寺 |
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男坂の狸(左) |
小説に出てくる恐い仁王様は、両方とも目がパッチリしていて、郷里の鰐淵寺の仁王さまより可愛く感じました。 さて、仁王門をくぐり階段を上ると、立派なイヌマキの木がありました。順礼の安全を祈願して植えられたそうです。 そこを更に上ると、立派で整然とした本堂があります。ここを左に巻くと写真左の登り坂にさしかかります。右は男坂、左は女坂です。 もちろん立派な男ですので、右に進みます。この森の大きな木には木の名前と説明が書かていますので、その都度足を止めて読みます。”さかき”が栄える樹とも書くことを知りました。 大汗を掻いて登りきると白山池なる表示があります。これは一見すべきと向かいました。 |
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そこには小さな池があり、そしてこの山の由来を書いた看板も掛かっていました。この池がこの白山神社と関係があった事を知りました。いつも水をたたえているので雨乞いがここで行われたようです。 そこから数分で展望台に着きました。しかしながら、殆ど上荻野の団地しか見えません。余り展望は良くありません。標高284mの白山でした。 ここから順礼峠まで1時間20分と書かれています。丁度12時の時報が聞こえました。 |
赤い頭巾のお地蔵様 |
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巡礼峠の碑 |
途中むじな峠(235m)に12時20分、物見峠に12時半に到着しました。物見峠は眺望もよく厚木方面が見えます。
アップダウンはそれ程大きくなく、ハイキングには打って付です。道もしっかり踏み固められて、階段も整備されています。
途中竹やぶの中の道を抜けますが、これはやはり低山ハイクの雰囲気にぴったりでした。ただ時折右側のゴルフ場からの大声で現実に引き戻され少しガッカリです。 順礼峠には予定より少し早く着いたようです。長い下りに掛かった時に、前方の杉木立の間から赤い頭巾をかぶったお地蔵さんが見えました。 |
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お地蔵様は、順礼中にこの峠で殺された方を供養して造られたと書いてあります。小説の母親はこれが設けられる前の年に亡くなったとありま した。 さて、小説の順礼の歩んだのとは逆コースでしたが、昔は五番札所の小田原から六番飯山に向かうルートが順礼道で、この峠から上古沢へ越えていったようです。13時半に私も車のある長谷寺に向かいます。 順礼がひもじさの余り大根を盗ったのはどの辺りの畑だろうかと想像し、また源昭寺は果してどこだろうと、探しながら歩きました。 途中で物寄峠(ものよせとうげ)と碑のある坂に着きました。武田が小田原攻めに物資を集めた櫓があったと書かれています。 14時半に飯山温泉入り口に着いた。時間は1時間、一寸短いコースだったがやはり歩くと色々なものをみつける事が出来る 。そして、この山の深さを知った旅でした。 |